※2021年8月23日に公開した記事ですが、必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2021年9月8日に再度公開しました。
コンテンツマーケティング担当者は、各コンテンツをカスタマージャーニーの特定のステージに合わせたいと考えるでしょう。そうすることで、価値あるコンテンツがリードを獲得し、顧客を喜ばせることができます。また自社に取って今どういったコンテンツが足りているのか?足りていないのか?を図る上でもコンテンツマーケティングをもう少し可視化したいと考えていると思います。この記事では、ファネルの各ステージで価値あるコンテンツを提供することの重要性と、それを最適化する方法について説明します。
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目次
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基本ですがよく使われる「カスタマージャーニー」を正しく正確に理解する第一のステップとしてカスタマージャーニーをファネルで考えてみてください。多くの場合、トップ、ミドル、ボトムの3つのステージで構成されています。ユーザーは最初、トップでリードとしてスタートします。その後、ユーザーは下に移動し、コンバージョンされた顧客としてファネルから出てきます。
しかし、ファネルの一番上でコンバージョンされてはいけないというルールはありません。同様に、あなたのブランドと最初に接触したのが、ボトムファネルのコンテンツであっても構いません。最も一般的な言葉で言えば、各ステージは次のようになります。
ファネルのトップは、問題点には気づいているが、まだその解決策を見つけていない人たちが集まっています。言い換えれば、彼らは解決策を求めており、さまざまな商品を検討する可能性があります。
例えば、Amazonで商品の販売を始めたいと考えており成功に役立つツールを探している人もいれば、あるいは、新しい歯ブラシを買いたいと思っている人もいるかもしれません。検索しているワードの共起語では「○○とは?」や「○○ 意味」といったそもそもを理解するためのモノが多く含まれます。
ファネルの中央部は、問題だけでなく可能な解決策にも気付いている人たちです。彼らは、どのような選択肢があるのかを理解し、自分にとって最適なソリューションを検討しています。
アマゾンストアを立ち上げる人たちは、在庫管理ツール、リプライサーツール、簿記ツールなどが必要であることを知っています。また、歯ブラシを購入する際には、柔らかめの歯ブラシが欲しいと思っているかもしれません。検索しているワード共起語はおそらく「○○ おすすめ」や「○○ 比較」といった具体的な機能差分か、購入後のメリットを理解するための「○○ 効果」や「○○ 口コミ」といった具体的なキーワードになっていると思います。
ファネルの最下層では、見込み客はプロバイダーの存在を知っています。彼らはすでに何らかの調査を行っているか、あるいは広告を見ているかもしれません。自分が何を欲しているのか、何が得られると期待しているのかを知っており、お金を払う顧客になる準備ができています。ここまでくれば共起語はシンプルで「○○ 価格」や「○○ 見積り」といった初心者でも分かるようレベルで具体的な検討に入っていることが分かるキーワードでユーザーは流入してきます。
ファネルの第4ステージ、厳密にはポストファネル体験の第1ステージは、しばしば考慮から外されています。
しかし、前のステージと同じくらい、いやそれ以上に重要なステージです。顧客を獲得することは、顧客を維持することに比べて5倍のコストがかかるという事実を考えると、ブランドロイヤリティを高めることも重要になります。
そのためには、充実したカスタマーサポートが欠かせません。また、コンバージョンしたお客様が製品やサービスを最大限に活用し、その後もずっと楽しんでいただけるような教育的なコンテンツを提供しましょう。ここを外すかきちんと対応するかで大きくその後のLTVは変わります。マーケティング戦略の最終ゴールは収益を上げる事ではなくその先にあるファンをいかに増やすかという事を忘れてはいけません。
またここでの注意点ですが正しくカスタマージャーニーを理解する際にはここまでシンプルなファネルで全ては解決するわけではないことを理解しておいてください。例えば車を購入しようとしていたユーザーが急な転勤やライフイベントにより一時的にそれどころではなくなった場合に段階は一つ上の層に戻る事もあります。
トップ・オブ・ファネルのコンテンツは、まだあなたのブランドを知らないお客様の注意を引くためのものです。あなたのことは知っていても、あなたと取引したことはないかもしれません。
この段階で制作するコンテンツは、何よりも情報を提供するものでなければなりません。あなたが見込み客の問題を認識していること、そして共感していることを伝え、さらに解決策の認識段階へと誘導したいのです。
トップレベルのコンテンツの好例は、Reiさんのこの投稿です。この記事では、ベースレイヤーの選び方について一般的で価値のある情報を提供していますが、読者をコンバージョンさせようとはしていません。CTAも製品リンクもありません。それどころか、製品についても言及していません。しかし、読者はさらにウェブサイトを閲覧して、購入できそうなものを見てみようと思うかもしれません。
ミッド・オブ・ファネルのコンテンツは、オーディエンスを惹きつけ、理想的にはコンタクト情報を獲得することを目的としています。ここでは、自社のソリューションを市場で最も優れたものとして認識してもらいます。比較やメリット訴求になります。
そのためには、よりパーソナルな内容にしていく必要があります。あなたが何を提供しているのか、どのように役立つのか、そしてあなたのサービスや製品に何を期待できるのかを読者に伝えましょう。例えば、Auraのこの投稿。この記事は、すでに再販業者を探している人が見るものなので、再販業者が良い選択肢であることを説明する必要はありません。ただ、さまざまな選択肢の違いを知ってもらうだけでいいのです。
一方、LandingCubeのこの記事では、選択肢の1つとしてリプライサーが挙げられていますが、この記事はリプライサーについてではなく、売上向上についての記事です。どちらかというと、トップファネルの記事です。この記事では、他のツールも多数紹介されていますが、ブランド独自のソリューションをその中の1つとして、またそのカテゴリの中で最も優れたものとして位置づけることに成功しています。
最後に、ボトム・オブ・ファネルの投稿には、会員登録、購入、コンバージョンといった明確な目的があります。これらの投稿は、見込み客が持つ可能性のある離脱要因を排除し、読者にコミットメントをさせることを目的としています。
英語のみになりますがAhreftsのこの記事は、そのすべてを網羅しています。様々な問題に対する最良の解決策としてブランドを明確に確立し、純粋に自己宣伝しているのです。しかし、そこまでする必要はありません。営業的ではなく、よりソリューションに焦点を当てても良いのです。
サポートの段階では、コンテンツを楽しんでもらうことと、学びを提供することが主な目的です。お客様にはブランドとの関係を深めていただきたいので、他の製品やサービスを紹介したり、すでに購入した製品を最大限に活用する方法を紹介したりします。ほかでは入手できないヒントや視点が必要です。
ここまで読み進めて頂ければあとは具体的に定量的に可視化を事で限られたリソースをどこに投資すべきなのか?を整理します。
その際に分かりやすいフレームワークで「コンテンツストラテジー」というものがあります。これはしばしばコンテンツマーケティングと混合されますが一般的に使われているコンテンツマーケティングがミクロな視点で、コンテンツストラテジーは自社で有するコンテンツの集合体を整理し、マクロな視点でカスタマージャーニーを可視化する際に活用できます。
参照:ビジネスに貢献するコンテンツを生みだすためのフレームワーク(後編)
ここまででお伝えした内容を購買検討熟度という言葉に変えて説明すると全てのユーザーが突発的に商品購入を検討するわけではなく、必ず上記のようにサービスを知り、自分が使うとどうなるのかをイメージしつつ比較を行い、最終的には何かしらのオファーを見てコンバージョンします。
これを疑似的に可視化するには以下のように同時に検索される複合ワード(共起語)とカテゴライズし、SEMrushやAhrefsといったSEOツールでどの程度の検索ワードを獲得できているのか?を競合他社と比較しながら集計することで自社のコンテンツの過不足を正しく理解することができます。
このコンテンツストラテジーという考え方は難しく膨大なデータを処理する必要があると感じるかもしれませんが、複合ワード(共起語)は一度整理してしまえばそこまで大きく変わる事は無いので、安心してください。
また、様々なSEOツールと連携し、一元管理分析できるWhatagraphなどのレポーティングツールを使う事でこの業務は簡略化と自動化を行えますのでツールの活用も検討してみてください。
それでは、カスタマージャーニーと、各ステージでコンテンツが達成すべきこと、可視化の方法までを十分に理解した上で、競合他社に差をつける価値を確実に提供するための最善の方法を見ていきましょう。ここは極めてシンプルで当たり前と感じる事が多いと思いますがカスタマージャーニーを元に戦略を考える上で外してはいけない「誰に、何を、どのように伝えるのか?」を効果的に行う為には外せないポイントなのでチェックリスト化して定期的に振り返る事をお勧めします。
成功するコンテンツはすべて、キーワードから始まります。自分のコンテンツを見つけてもらいたいのであれば、まず、そのテーマが人々の検索対象になるようにする必要があります。結局のところ、自分以外の誰もが興味を持たないようなトピックについて、最も素晴らしく有益な記事を書いても、コンバージョンにはつながりません。
ターゲット層の興味や意識の段階を考慮しながら、検索数が多く、実際にランクインできるキーワードを探してみましょう。何位にランクインできるかは、様々な要因によって決まります。まずが大別すると「ドメインの評価」「被リンクの数」「コンテンツの有用性」の三つになります。
顧客をできるだけ長く優良な顧客として維持し、ファネルの中での顧客体験を有益なものにするためには、カスタマージャーニー全体の概要を把握することが重要です。つまり、問題に直面している現在の状況から、製品やサービスによって生活が便利になったり、楽しくなったりする近未来まで、A地点からB地点までどのように移動するのかをお客様に想像してもらいたいのです。
また一度整理するだけではなく、ボトルネックがが顕在化していないのか?を常に可視化することで時間を無駄にすることなく効果的な施策実施を続けれる環境を作ってください。
このようなケースでは先に紹介したWhatagraphのようなサービスを活用することで正しくリアルタイムに手間もなく可視化することができますのでお勧めです。
トップ・オブ・ファネルのユーザー群にアプローチする際には、彼らが理解されていると感じさせ、まったくの初心者ではないと思わせるようにしましょう。これは、あなたの分野や業界が、一般的な知識ではないソリューションに特化している場合、特に重要です。
ユーザーは、初めてテーマを調べるときに、自分の知識に不安を感じるものです。特に、初心者向けではない記事を目にすると、読者はさらに不安になってしまいます。
ここでは、Ad BadgerがAmazonとPPCに関する記事を例に挙げています。この記事の読者は、リスティング広告などのクリック課金について学んでいるところで、この記事が詳細に説明されていることを非常に高く評価するでしょう。ユーザーは解決策を知らないので(問題点についてもよくわかっていないかもしれません)、何かを提供したいと思う以前に、まずは、ユーザーが再び利用できる有用なリソースとしての地位を確立してください。
もしあなたの周りに、もっと有名で注目を集めそうな競合他社がいたとしたら、彼らの注意をあなたの解決策に惹きつけることができます。認知度の高いブランドの問題点を読者に認識してもらい、自社の方が良い選択であることをアピールするのです。
すべての人がそうできるわけではありませんが、もし自分のブランドが、より有名な競合他社よりも優れている点を特定できるのであれば、それを活用しない手はありません。自社の実現したい世界観をブランドイメージに投影することも重要ですが、自社が競合他社に必ず勝てるUSP(Unique Selling Proposition)を整理した上で、強みを前面に押し出すことも非常に効果的です。
あなたの投稿にさらなる価値を与えるために、必要に応じて比較表を挿入してみましょう。比較表は、その分かりやすさが非常に役立ちます。一見して、誰かが決断するのに必要なすべての情報を提供することができます。
この機能の恩恵を最も受けるのは、価格設定ページです。WP Engineの好例があります。ブログ記事では、インターネット上で比較表を使用した最も優れた例のひとつがこの記事です。「Pros and Cons」と「Compare Specs」のセクションは、どちらも非常に価値があり、取り入れやすいものとなっています。PC Magが人気のリソースである理由のひとつです。
ここまでくるとあと一歩です。あなたのブランドが有名であろうとなかろうと、あなたの製品やサービスに不安や疑問を抱く見込み客がいるはずです。例えば、自分が抱えている問題に効果があるのかどうか、不安に思うこともあるでしょう。
このような不安を払拭するコンテンツを書くことで、まずは顧客の不安を受け止めます。そして、その不安を解消し、詳細な解決策や答えを提供することで、信頼できるブランドとしての地位を確立することができるのです。最近では食べログや、価格コムといったUGCを軸にしたサービスが広く認知されていますがこれらのサービスはここ数年で驚くほどのペースで成長しています。
人は成功よりも失敗することの方を恐れる傾向がある事を理解し、ユーザーの不安に感じる要素に合わせたコンテンツを提供しましょう。
最後に、製品やサービスの良さを裏付けるコンテンツがたくさんあることを確認しましょう。それをニュースレターに掲載することもできます。
このようなコンテンツは、例えば、ツールについて詳しく説明することができまし、他のブランドを自社のソリューションと組み合わせて使うことで、最高の結果を得る方法を説明することもできます。直接の競合相手でない限り、他のブランドにトラフィックを誘導することを恐れてはいけません。
サポートの充実は、いち顧客を優良顧客に変え、優良顧客の一定数は新たなユーザーを紹介してくれる強力なファンとして自社の成長を応援してくれるようになります。効果が出るまで長い道のりですがその分のリターンも大きいので必ず重要だということを忘れないでください。
メディアの読者やECサイトの顧客は、教育を受け、自分の選択肢をよりよく理解しています。彼らはGoogleなどの検索エンジンを使って、ほとんどすべての問題の解決策を見つけることができます。あなたのコンテンツは、このような消費者のニーズに応えるものでなければなりません。
真の価値と新鮮で有益な情報を提供することで、より多くのリードを獲得することができるのです。私たちのカスタマージャーニーコンテンツマーケティングガイドが、あなたを正しい道へと導いてくれることを願っています。
※本記事は、「How to Add Value With Content at Every Stage of the Customer Journey」を翻訳・加筆修正したものです。