※2021年8月5日に公開した記事ですが、必要な文言等を追記、その他の部分も修正して2021年9月7日に再度公開しました。
世界人口の半分以上が毎日1つ以上のソーシャルメディアプラットフォームを利用していることから、あらゆる業界の企業がソーシャルメディアのデータマイニング(分析/調査)の重要性に注目しています。ここでは、ソーシャルメディアのデータモニタリングとデータマイニングの概要とそのメリットについてご紹介します。
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目次
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ソーシャルメディアデータマイニングとは、その名の通り「ソーシャルデータ」を「マイニング」することを指します。通常のデータマイニングとは異なり、ソーシャルメディアデータマイニング(ソーシャルメディア分析)では、企業や調査会社の内部のデータベースやシステムを超えて調査を行います。一般的にはソーシャルメディア分析などとも言われており、非常に多くのマーケッターが年々重要度が増していると回答しています。
目的はFacebook、Instagram、Twitter、TikTok、LinkedIn、YouTubeなどのソーシャルメディアから得られた生データを収集、処理、分析し、意味のあるパターンや傾向を明らかにし、結論を導き出し、洞察に満ちた実用的な情報を提供することで、ソーシャルメディアモニタリングを行う企業が次のステップとして、データを活用した戦略を構築する際に活用します。
SEOやPPC等のSEM領域と比較して各ソーシャルメディアが簡単に詳細な分析ができるようなプラットフォームが多くターゲティングや施策に反応したユーザーのペルソナを把握しやすいことからBtoC企業の中でも小売業界や、旅行といったソーシャルメディアと親和性が高い業界ではGoogleやYahooといった検索エンジンよりも重要視されるケースが増えています。
ソーシャルメディアデータマイニング(ソーシャルメディア分析)では、一般に公開されているデータ(年齢、性別、職業、地理など)や、ソーシャルメディア上で日常的に生成されるデータ(コメント、「いいね!」、クリックなど)など、さまざまな種類のソーシャルデータを収集します。
一般的に、データは特定のトピック、製品、またはサービスに対する人々の意見、つながり、行動、および感情を表現できます。対象となるソーシャルメディアのデータがFacebookのものであれば、フォロワー数、コメント数、「いいね!」数、シェア数、Twitterのリツイート数やインプレッション数、Instagramのエンゲージメント率やハッシュタグの使用率など、対象となるソーシャルメディアのプラットフォームによって、このデータは異なります。
このソーシャルデータ活用はコンテンツの最適化、オンラインビジネスの促進、インフルエンサーの発見、マーケティング戦略やエンゲージメント戦略の改善を図る際には、常に上記のような種類のデータを収集することを重視すべきです。
多くの会社でソーシャルメディアが提供している分析を行うソフトウェアを活用し分析改善を行っていますが、ダイレクトマーケティングとマスマーケティングのように相互に作用するためある程度のソーシャルメディアのデータを統合管理し、一つのダッシュボードで効果を測定するのがベストです。
例えばTwitterで話題になり、Google上での指名検索が増えるように、ソーシャルメディアのデータを分断することで正しい効果測定が難しくなり、手動で集計するにはデータ量が増えすぎるため満足のいくソーシャルデータ活用ができません。
このようなケースでは、Whatagraphのようなワンクリックで主要ソーシャルメディアのデータを統合でき、あらゆるビジュアルで一つのダッシュボードとして管理できるソフトウェアが有効です。
10年前はFacebookやTwitterがメインのSNSとして活用されていましたが、10年後の今日本国内においてあらゆるソーシャルメディアが乱立し、それらのデータを正しく理解するためには専用のソフトウェアの活用は必要不可欠になっています。
一般的に、ソーシャルデータをマイニングするプロセスには、統計的手法、数学、機械学習が組み合わされています。
まず最初のステップは、さまざまなソーシャルメディアからソーシャルデータを収集し、処理することです。Facebook、Twitter、YouTubeなどのソーシャルメディア以外にも、ブログやニュースサイト、フォーラムなど、ユーザーがコメントを残したり交流したりする公開ページからもデータを抽出します。これらの情報は、次のステップに進む前に処理されなければなりません。
データが収集され処理されると、次に様々なデータマイニング技術が適用され、大規模なデータセットに含まれる共通のパターンや様々なデータポイントの相関関係を容易に特定できるようになります。ソーシャルメディアのデータマイニング技術としては、分類、関連付け、パターンの追跡、予測分析、キーワード抽出、センチメント分析、市場・トレンド分析などがよく使われます。
さらに、ソーシャルメディア・データマイニングでは、マイニングのプロセスを最適化するために、多くのソーシャルメディア・データマイニング・ソフトウェア・ソリューションを採用しています。よく知られているデータマイニングソフトウェアソリューションには、Microsoft SharePoint、Sisense、IBM Cognos、RapidMiner、Dundas BIなどがあります。また、より詳細なデータの調査が必要な場合は、機械学習を利用することもできます。
マイニングプロセスの最後のステップは、プロセス全体から得られたインサイトを視覚的に表現し、対象となるオーディエンスに情報を提供することです。これには通常、ソーシャルメディア分析や、Infogram、ChartBlocks、Sisense、Datawrapperなどの様々なデータ可視化ツールを使用します。
ソーシャルメディアデータマイニング(ソーシャルメディア分析)は、ユーザーが作成した大量のデータを収集・分析するため、様々な分野で活用されており、貴重な資産として認識されつつあります。これまでは主にビジネス目的で利用されてきましたが、最近では研究者や政府機関でも利用されるようになりました。
企業、ホテル、小売業者、航空会社、メーカー、さらには政治団体などが、データマイニング会社からデータセットを購入し、顧客体験のパーソナライズ、マーケティング戦略やサービス満足度の向上、ビジネスの最適化などに役立てています。
ここでは、ソーシャルメディアのデータマイニングがどのような人に、どのように利用されているかの例を紹介します。
・ニーズ
企業での主な用途としては、ターゲットを絞ったマーケティングキャンペーン、市場調査、セールスイネーブルメント、予測分析、インフルエンサーマーケティング、ブランドレピュテーションのモニタリングなどが挙げられます。
・トレンド分析
ソーシャルメディアデータマイニング(ソーシャルメディア分析)を利用して、ソーシャルメディアプラットフォーム上で現在トレンドとなっているキーワード、メンション、トピックに関する貴重なインサイトを得ることができます。
・イベント検出(ソーシャル・ヒートマップ)
この指標は、ソーシャルメディア・モニタリングを使用する機関や研究者にとって非常に重要なものです。
・ソーシャル・スパム検出
ソーシャル・メディア・データ・マイニングは、InstagramやTwitterなどのソーシャルメディア・プラットフォーム上のスパマーやボットを容易に検出することができます。
・Eコマース
ソーシャルメディアのデータマイニングにより、人々が製品についてどのように反応しているかを分析できます。
・デジタルメディア
ソーシャルメディアのデータマイニングは、デジタルメディアの分野にも応用されています。例えば、特定のデジタルビルボードに表示するコンテンツは、オーディエンスの好みやニーズに合わせて、ソーシャルメディアデータマイニングのプロセスを経て決定されることがあります。
・ブロガーやソーシャルメディアのインフルエンサー
ソーシャルメディアデータマイニングは、ブロガーやソーシャルメディアのインフルエンサーが、フォロワーの意見や感情、彼らが何について話しているか、特定の話題についてどう感じているかを分析するのによく使われます。
・ブランド
ソーシャルメディアのデータマイニングは、ブランドの重要な意思決定に役立ちます。例えば、将来の潜在的な市場について決定する際などです。
・研究目的
研究者は、データの大きさと容易なアクセスのために研究にソーシャルメディアデータを使用することは、彼らの仕事にとって貴重な資産であると考えています。ソーシャルメディアデータマイニングは、社会科学、研究、健康研究、技術研究など、さまざまな研究領域で応用できます。研究分野での使用例としては、意見の収集、研究の実施、研究参加者の募集、参加型の「市民科学」の実施、ステークホルダーの関与の促進などが挙げられます。
・政府機関
ソーシャルメディアのデータマイニングは、政府機関でも福祉を中心とした介入の目的で利用されることが多くなっています。ソーシャルメディアデータマイニングの一つの方法は、住民が一日中タグ付けされた場所での活動を記録することで、住民の動きを追跡することです。ソーシャルメディアマイニングは、住民の生活や地域社会の安全性を向上させる強力なツールになることは間違いありません。
ソーシャルメディアのデータマイニングは、比較的新しい研究分野であるため、さまざまな目的での使用について多くの課題や問題があります。その中でも特に大きな問題となっているのが、ソーシャルデータマイニングを行うことが倫理的に正しいかどうかという問題です。
前述したように、ソーシャルメディアのデータマイニングでは、公開されている大量のユーザー生成データを使用します。つまり、ユーザーは自分の個人データを公開することに同意しており、自分がソーシャルプラットフォームに投稿、コメント、共有したものを誰でも見ることができるという事実を認識しています。
しかし、何が「公」で何が「私」であるかの認識が多様であるという問題が残っており、所有権や知的財産の問題、匿名性の保証の難しさ、インフォームド・チョイスによる同意の取得など、すべてがデータマイニングのさらなる課題となっています。さらに、ソーシャルメディアのデータを扱うための明確な倫理的枠組みがないことも、ユーザーが作成したデータを収集、分析、可視化するプロセス全体の複雑さを増しています。
近年、ソーシャルメディアのデータマイニングを利用したプライバシー侵害がいくつか発生していますが、これはこの強力なツールの使用に関する原則、法律、規則が不明確なためです。FacebookやGoogleなどの大手ソーシャルメディア企業は、ソーシャルデータの不適切な使用をめぐる紛争に巻き込まれており、2018年にはFacebookのケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルに関するニュースが世界中に流されています。
企業、研究者、政府機関がソーシャルメディアのデータマイニングが提供する利益を享受できるように、ソーシャルデータの使用に関する明確な倫理原則と法律を確立することが必要なのです。
※本記事は、「Social Media Data Mining: What It Is, How It Works, and How to Use It」を翻訳・加筆修正したものです。